今日は、自宅近くの岐阜県多治見市で築14年の中古住宅をインスペクションしました。

南側から見た外観はこんな感じ。

築14年と築浅の部類にはいる物件だと思いますが、外壁まわりに劣化事象が散見され、近い将来雨漏りが心配な物件です。

私のインスペクションは、まず外回りを見ます。そして家の中に入って内部の診断。次に各階の居室の床のレベル測定を行います。フラット35や既存住宅売買保険の検査基準だと、居室の四隅と真ん中、計5ヶ所の測定をすればよいとされています。

しかし、私がレベル測定をする場合、約90㎝ピッチで測定します。6帖の部屋だと測定箇所は12ヶ所にもなります。これぐらい測定しないとその部屋に傾斜があるかどうかわからないし、正確な傾斜値を依頼者に伝えることができません。(下の写真はレベル測定の様子)

この住宅のレベル測定をすると、北側に向かって3/1000程度の傾斜があることが判明しました。3/1000は、1mで3mmの傾斜となります。一般的に6/1000以上の傾斜が見られる場合、何かしら大きな瑕疵が存在するという診断ができます。

3/1000の傾斜の原因は、おそらく住宅の立地が大きく関係していると思いました。住宅を北側からみると、、、

道路と住宅地の高低差がおよそ4m程度あります。

おそらく埋め立てされた土地です。よって不同沈下が発生し、住宅が北側に3/1000程度傾いてしまっているのでしょう。3/1000という傾きは築10年程度の住宅には一定程度存在すると言われていますが、私の様なインスペクションを仕事としている者にはすぐわかる傾斜です。今回、住宅に入ったときには、「傾いているかも?」と感じていました。ただ一般の人だと感じない傾きです。

もし、購入を検討している住宅に6/1000以上の傾斜が存在しているなら、購入は控えた方がいいかもしれません。それは人体に影響が出る可能性のある傾斜だからです。平衡感覚がおかしくなったという例も聞きます。

では3/1000ならどうか?なかなか微妙な傾斜で個人差が出てきそうです。じっくり考える必要がありそうですね。

2017年5月20日